その程度は出来るかと

2/2
585人が本棚に入れています
本棚に追加
/250ページ
 やはりイケメンは、酷い。  僕のファーストキスを奪っておいて、経験ないのかと聞くのだ。  あるわけがないのに!  あまりにも酷い話に僕が涙目で震えているのに、エドワード王子はなぜかご機嫌だ。  僕に恋人がいないのがそんなに嬉しいというのか!  この鬼畜な王子を僕は恨みつつも僕は、アリサ姉ちゃんの関係で協力せざるおえない。    でないとこのイケメンに僕は……。  そう思うと不安しかない。  とそこでこの鬼畜イケメン王子エドワードが僕に、 「それで魔道具を作ってもらえないか? 今後アリサと戦闘するにしても、アリサを探しに洞窟に入るにしても、武器の強化は必須だしな」 「……うぐ、確かにそれはそうかも」 「じゃあさっそく作ってくれ」  そこでエドワード王子が、何かお茶を作ってくれという気軽さでそういった。  魔道具とはピンキリとはいえ、作るのが結構大変というのが一般論だ。  しかも、それ専門の職人がいたりする。  だが知ってか知らずか、エドワード王子はそう僕に言ってきたのだ。  普通なら無茶だ、で済ますところだけれど、 「エルは僕がこんなにすぐに魔道具を“作れる”って知っていたの?」 「いや? だがフリーの伝説の魔づぐ職人というからその程度は出来るかと思ったんだ。王室御用達の魔道具職人もそうだから」 「僕のような人がいるの?」 「……他の魔道具職人も知らないのか?」 「う、普通の魔道具職人しか知らないです」 「……異様に能力が強いから、あまりほかの人に知られないようにしたのか? ……試しに俺の持っている件を強化してみてくれないか? 見てみたい」 「……いいよ。どの属性を強化する? 今は手持ちの材料だと属性をひとつしか付加できない」 「やろうと思えば、幾つも付加できるのか。それはそれで……まあいい、では炎で頼む」  そう僕は言われて、赤い石を取り出したのだった。  
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!