夜の飛行

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夜の飛行

 彼の異変に気づいたのは、お盆のすぐ後だった。一週間ぶりに会う彼から気持ち悪い匂いがして、それで気づいた。抱き締められた感触も、旅行先で枕が変わったときみたいで落ち着かなくて、わたしの短い髪の撫で方がぎこちなかった。わたしは誰が彼を違う枕にしたのかな、といつの間にか考えていた。帰省はどうだったと聞くと、高校の友達と飲んだよと答えた。すぐに嘘だとわかった。別に枕が変わっても問題なく眠れるわたしは、彼にごはんの用意をした。  彼が眠ったあと、彼のスマホを充電するついでに開いた。暗証番号は昔飼ってた愛犬の名前をもじったものだと前に教えてもらった。メール欄も通話欄も最近の履歴がなかった。わたしは電話帳を見て、最近新しく加わった名前を覚えた。
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