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私は幼い頃、「しあわせ」を「しやわせ」と言っていた。 美味しいものを食べた時。 遊園地に行って楽しかった時。 欲しかったものを買ってもらった時。 「しやわせ~」と言いながら“にしゃっ”と笑った私の顔を、 父も母も微笑みながら「とっても可愛かったよ」と語ってくれた。 私が就職した年、父母は交通事故で他界した。 実家のクローゼットに仕舞われていたアルバムには、 「しやわせ」な顔をして笑う私の写真が年齢順に綺麗に整理されていて、 ページをめくる度に、 はしゃぐ私にカメラを向けていた父の姿と、 現像された写真を微笑ましく眺めながら1枚1枚大切にアルバムへ貼り付けていた母の姿が思い出された。 もう二度と父にも母にも、 私の「しやわせ」な顔を見せられないのだと思って涙が溢れた。
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