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俺さ、柚葉のこと好きだったんだ。
もちろん今も大好きなんだよ。
ほんと好き。
大好き。
今手紙書いててさ、
「あぁ、やっぱ俺…柚葉のこと大好きだなぁ」
って改めて思った。
どこが好き?
なんて聞かれたら答えられねぇけど、少なくとも俺の最後の季節の想い出を、柚葉で埋めたいくらいには好きなんだよね。
ほんとは、直接柚葉に“好き”って言えたらよかったけど……俺が臆病だから言えなくてごめんな。
柚葉、優しいから気にしちゃうだろ?
気にしなくていいから。
それでも好きになったのだけは許せよな。
あとさ。
もし、俺のわがままを受け入れてくれるならさ。
なんとなくだけど、
俺は柚葉の近くで死んじゃうような気がするから…
どうしても気になることがあって。
俺が最後にいう言葉はなんだろうな
……って。
だから覚えてろよ。
いつか絶対聞きに行くから。
約束な!
柚葉が幸せな人生を過ごして。
家族もできて。
おじいちゃんになって。
大切な人に見送られながら死んじゃったら。
その時は俺が
「久しぶり柚葉」
って、迎えに行ってやるからよ。
そん時に教えて?
何十年でもずっと……
柚葉が死んだっていうのに、幸せなおじいちゃんな顔して、俺の前にやってくんのずっと待っててやるから。
惚気ばっか聞かされるのはちょっと辛いけど。
あーあ。
結局何言ってんのかわかんないし、長くなったな。
柚葉。
今までありがとう。
俺と友達になってくれてありがとう。
俺に季節をくれてありがとう。
俺に“好き”を想わせてくれてありがとう。
ずっとずっと大好きだから。
約束だけは守れよ?
お誕生日おめでとう。
──朱寧より
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