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馬鹿だの脳筋だの言われてきた脳ミソじゃ、何か考えることが苦手過ぎて。
裏で腹黒いやり取りがあるとかどうとか、気付きもしないで生きてきた。
人間には表の顔と裏の顔が有るんだって、教えてくれたのは祖父さんで。俺の騎士団入りを最後まで反対してたんだよね。
今ならよくわかる。屋敷の人間は、俺には表の顔しか見せてなかった。騎士団の騎士たちも同じ。
皆優しい人たちだなぁ、とか呑気に思ってた俺を、今からでも殴りに行きたい気分だ。
結局こんな状況に陥った経緯を考えても、よくわからないとしか言えない脳ミソなので。仕方がないからわかることだけ考えてたんだけど。
そろそろヤバイかも?
本能が警鐘を鳴らしてる。
オメガの本能は、アルファと同じくらいに動物的だ。
抑制剤を飲んでても、その本能は無くならないから、だからこそ誰よりも魔獣を倒してこれたんだとも思っている。
すぅ、と大きく息を吸って。はぁ、と吐き出す。
今までの雑念を追い払う様に精神を統一して……。
相棒の剣を片手に、自然体で立ち上がる。
俺は型を取らない。自然体の方が、身体の動きがスムーズだから。
魔獣の死肉を食らってでも、俺は生き延びて帰ってやる。オメガの本能が動物的だと言うのなら、帰省本能が有ると信じる。
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