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その日、夏秋家で行われた「第二十一回、ザ・家族会議」の場で、衝撃の事実を子供たちは知ることとなった。
母・トマリーが実は──ハーフだった、と告げた。
だがそんな話を聞いても、誰一人として母の出自にケチをつける者はいなかった。
子供たちも、もう大人だ。誰も「見れば分かるっちゅーねん!」なんてことは言わなかったし、人の数だけ人生があるのだと理解を示していた。
トマリーは押入れをがさごそ漁ると、埃のかぶった高校の卒業アルバムを、懐かしそうに、それでいて照れくさそうに引っ張り出してきた。
テーブルの上に開かれた卒業アルバムを、ぎこちない面持ちで覗き込む子供たちの目には──母にもこんな若い頃があったのか──戸惑いの色がありありと浮かんでいた。
それは否定的な色ではなく「照れくさい」という表現を使えば一番しっくりきたかもしれない。
子供たちに取っては、ある意味では苦痛の時間だったかもしれない。
だが当の本人には、もう照れや戸惑いなど微塵もなくなっていた。
トマリーは流暢な日本語で、昔の”ぼく”を懐かしんだ。
「オカーサン、メチャ、イケテルヤーン? メッサ、ワカイッテーッ。ホンママジデ」
子供たちは思った。
(そっちかーぃ!)
そして、その独演会は夜更けまで続けられた。
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