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夏菜子は彼のまだ散らかった部屋のベッドに腰掛けた。 「ご、ごめっ。まだ片付けが」 「曽根くん、となり座って」 夏菜子はいつもと様子が違い、静かにそう言った。幸太は恐縮しながら夏菜子の隣に腰を沈めた。幸太が緊張して、床ばかり見ているのを夏菜子はじっと見つめていた。 「私、援交なんてしてないから」 幸太は勢いよく夏菜子を見る。彼女は悲しげな表情で彼を見ていた。 「そ、そそんなこと分かってるよ」 「うん。だと思ったけど…、私も一応女の子だから気にしてて」 夏菜子は泣きそうな顔した。 「入江さんは女の子だよ!一応じゃなくて!紛れもなく!」 幸太は夏菜子にいかに彼女が「女の子」であるかを拙い言葉で熱弁した。 「あ、え…そこ?」 夏菜子は、やっぱり幸太は幸太だと少し安心した様子だった。 「曽根くんに話したことで嘘はないよ」 「うん、お、俺は…別に何も気にしてないから(本当はウルトラ気になりますけど!ここは格好つけたい!)」 夏菜子が、幸太が太ももで持て余していた彼の手を握る。目が合って、幸太は赤くなって口を固く閉じる。 「(ああ…これは……キスするタイミング)」 ゆっくりとお互いに近づいていき、優しく唇が重なる。少し触れるだけで幸太は興奮した。何度か重ねてから、幸太は勇気を出して夏菜子の後頭部に優しく手をやって、舌を滑り込ませた。 「(これが…これが大人キス!!!!)」 幸太は喜びと達成感と、なんとも言えない快感に酔いしれた。幸太の舌に応えるように夏菜子も口を小さく開いた。そのキスはぎこちなくお互いをさぐり合うようだった。夏菜子はゆっくりと、幸太の大きな手を自分の胸元へやった。彼の掌にやわらかな胸の温かさが伝わる。すると、幸太はとっさにキスをやめて勢いよく夏菜子を抱きしめた。 「ご、ごめっ…あの…まだ、なんか勇気…っぽいものが…」 「うん、私こそごめんね。大丈夫」 しばらく抱きしめあった後、幸太は散らかった部屋の隅からテレビを引っ張り出して線を繋ぎ、DVDをつけた。 「(ああ、テストには予習復習あるのに…なんでエッチには予習がないんだろ。いい加減股間が辛いというより心が辛い)」 映画をボーッと眺めていると、ふといいアイデアが幸太の頭に浮かんだ。 「(金木くんだ!金木くんに相談しよう。前の日に相談内容を練習すれば話せるはず)」 まだ何も成し遂げていなかったが、幸太は1人満足げに笑った。
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