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それでも、朝に弱い万希ちゃんは、簡単には目覚めない。それにゆうべ飲み過ぎたせいもあって、まぶたは普段より腫れている。
「万希ちゃん。遅刻するよ?」
「…………ん……んっ!?…………ん……?」
三度目の呼び掛け。それが聞こえたわけではないと思うけど、ようやく万希ちゃんは重いまぶたを持ち上げてくれた。
「おはよ。いい天気だよ」
そう言って顔を覗きこむ。毎朝、こうやって必ず万希ちゃんの寝起きの顔に語りかける。
愛する妻は、ぴくっと右側の頬を痙攣されたあと、やっばいっと叫んで目を開け、ベッドの横の目覚まし時計を鷲掴みにした。
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