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フラれた?
それは違う。
僕は結局、最後まで翔にお別れなんて言えなかったもの。
あぁ……。
今頃になって、あの日のことを後悔してしまう。
そんなふうに翔を深く傷つけてしまうなら、やっぱりあの日きちんと別れるべきだった。
僕に勇気がなかったばっかりに、翔をそこまで変えてしまったんだ。
あんなに前向きで明るかった翔から、笑顔が消えてしまったなんて……!
今日僕に再会して、翔はどれだけ嫌な気持ちになっただろう。
文句の一つでも言いたいところを、グッと堪えて他人のフリをしてくれたんだ。
それなのに僕は、はじめましてって言われたことに、少しショックを受けていた。
僕は一体、何を期待していたの?
“久しぶり”
“会いたかったよ”
“昴”
そう言ってくれるんじゃないかって、一瞬でも考えたりしなかった?
なんて浅はかなんだろう。
そんなこと、あるはずないじゃないか。
憎まれていることはあっても、もう好かれているはずがない。
僕は翔にひどい仕打ちをした張本人なんだから……。
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