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理久に体重を乗せられておれは上半身が前のめりになる。
「いたた、痛い。おもい、重いよ、小守くん」
言いながらも自然と頬が緩んでくる。理久が構ってくれるから、どうしても顔がにやけてしまう。
それを気配で感じ取ったのか、察しの良い理久はすぐに圧力をかけるのを止めてしまった。
「嬉しそうだな、やけに」
「そりゃ……嬉しいから」
本気でそう思っている。だって理久からのスキンシップは珍しい。こうやって密着させてもらえるようになるまでも、相当時間を要したのだから。
どうしてもにやつきが止まらない。
背後でため息が聞こえてきた。顔は見えないが、理久は呆れたような表情をしているに違いない。
「ともかく。今は手が離せないんだ。気が散るから大人しくその口を閉ざしていろ」
冷ややかな一言を投げられる。おれはいじけたように唇をとがらせて、けれど反論はせずに素直にそれに従った。
押し黙ってあっさりと引く。
いつもなら理久がゲームに熱中していようが邪険にされようが、もう少し食い下がっているところだ。
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