望んだこと

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 奴らは、口を揃えてこう言う。  「誰も自分を分かってくれない」――と。  そういうお前たちは、一体どれだけの人間の心を知っている?  どれだけの人間の、その痛みを理解できる存在なんだ?  「痛い痛い」と泣き叫ぶばかり、その声の大きさを競うばかり。    その大声に押しやられ、声すら上げる事もできずに痛みに耐えてる人間がいる事すら知らない。  そして、そんな人間がついにふっと消えようが見向きもしない。  くだらない事で大騒ぎ。  そのくだらない不幸自慢を広げて、伸ばして、最大限に飾り付けて、それを見せびらかして満足かよ。  本当の痛みってのは、安易に言葉に代えられるようなものじゃない。  てめえらは、不幸をファッションにしてるだけだ。  そんな輩共が消えてくれたならば、声すら上げれずに地面に蹲ってる本当に救いたい人をもっと見つけられるのに……。 
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