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プロローグ
――貴方は一度でも思ったことがあるだろうか？
このまま今の生活から逃げ出したい
死ぬのが怖い。周りの大事な人たちが自分より先になくなってしまったら?
なんで自分は生まれてきたのだろう
なんであんなことをしてしまったのだろう
なぜ自分は……
――だれか、助けてほしい
絶対に誰しもが思ったことはあるはずだ
漠然とした恐怖、不安。そして後悔。
そこの現実世界を満喫しているあなたも、自信なさげな目をしている君も
そう、誰しもがだ
え？ 自分はそんなこと思ったことがない
十分に日常生活を満喫し、自分に価値を感じているだって？
では、もう一度自分の心に問いかけてみてくれ
ほら、見つかっただろう？
それでも見つからないだって！？
……すまない少し平静さを失ってしまった
君はきっと相当に自分の心に対して鈍感な人間なのだな
仕方ない。では、私が君の深層を覗いて、後悔を取り出してあげようじゃないか
ほら、こっちに来たまえ
いやだ。大きなお世話だと？
なら、なんで君はここに来たんだ
なんとなく？ なんとなくだって！？
はぁ……まぁいい
君の相手をするのは疲れる
さっさと帰るがいい。そこの扉を出てすぐに目をつぶれ
何で目をつぶらないといけないのかだって？
用事もなく店に入ってきた無礼者には教えられないな。あぁ、でも君にこれだけ教えてやろう。君が私の言ったことを覚え続けていられるかどうかは保証せんが?
いいか。一度しか言わないから、その耳かっぽじってよーく聞けよ
「君は必ずもう一度この場所を訪れる」
さぁさぁ、さっさと出て行った！さっきも言ったが君の相手をするのは疲れるんだ。早く出ていけ
そういい、さっき来た客を追い出した男性は灰色の目を細め、ドアをしばらく見つめると濡れ羽色の髪を店内に吹くかすかな風に遊ばせながら店の奥へと消えていった。
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