1 それからの二人

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「いやあ、良いもの見れたなあ」 おかしくて仕方がないといった様子でにやにやする辻さんに対し、今の一部始終を見聞きされた先輩は 大きく肩を落としながら、盛大なため息をついた。 「……立ち聞きとか趣味悪」 そう吐いた顔はひどく不機嫌で。 さっきまでの甘い空気はどこへやら、一変した状況に、私は見聞きされた事への恥ずかしさも忘れて、少し残念な気持ちを抱いた。 ……だって。 あんなリアクションをする先輩はなかなか見れないんだもん。 「人聞き悪いな。 ドアを開けた時に声をかけようとしたけど、二人の邪魔しちゃ悪いな、と思って気を利かせたんだよ」 そう言いながら。 辻さんが、澄ました顔で二人分のアイスカフェオレをテーブルに置く。 「……確信犯だろ」
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