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辻さんに見聞きされた事がよっぽど嫌だったのか、先輩はムスッとした表情のままで。
その姿に、辻さんが私をちらりと見て『ごめんね』と唇だけを動かす。
『気にしないでください』というつもりで、小さく頭を振って応えると、辻さんは横に結んでいた口元を緩ませた。
「……悪かったよ。
けど、そろそろ機嫌直してあげないと愛也ちゃんが困惑するぞ」
そんな私の事を気遣ってか、辻さんがそう声をかけると、先輩はハッとした様子で私を見て。
「……ごめん」
と一言謝りの言葉に口にしてくれる。
「そんな事より先輩、あと1時間ですよ!
冷たい内にカフェオレいただきましょう」
気づいてくれたらそれでいいの、と、いう気持ちで笑顔を返すと、先輩はホッとした様に胸を撫で下ろして。
その後。
私たちは賞味20分程度の短いデートを楽しんだ。
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