1 それからの二人

21/39
3220人が本棚に入れています
本棚に追加
/681ページ
辻さんに見聞きされた事がよっぽど嫌だったのか、先輩はムスッとした表情のままで。 その姿に、辻さんが私をちらりと見て『ごめんね』と唇だけを動かす。 『気にしないでください』というつもりで、小さく頭を振って応えると、辻さんは横に結んでいた口元を緩ませた。 「……悪かったよ。 けど、そろそろ機嫌直してあげないと愛也ちゃんが困惑するぞ」 そんな私の事を気遣ってか、辻さんがそう声をかけると、先輩はハッとした様子で私を見て。 「……ごめん」 と一言謝りの言葉に口にしてくれる。 「そんな事より先輩、あと1時間ですよ! 冷たい内にカフェオレいただきましょう」 気づいてくれたらそれでいいの、と、いう気持ちで笑顔を返すと、先輩はホッとした様に胸を撫で下ろして。 その後。 私たちは賞味20分程度の短いデートを楽しんだ。
/681ページ

最初のコメントを投稿しよう!