1 それからの二人

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けれど。 ふと、車内のオーディオの時計を目にしたら、あともう少ししか先輩といられない事を急に実感して、しんみりしてしまう。 ……次はいつ会えるのかな。 そう尋ねたところで多忙な先輩を困らせるだけだと分かっているのに。 別れ際になると聞きたくなる気持ちを紛らわせようと、窓の外に目を向ける。 「……」 あれ? 流れる景色が、行きの時と違う事に気づく。 ……どうしてだろう。 「こっちから帰った方が早いんですか?」 何か理由があって行きと違うルートを選んだのかな、と思いながら、ハンドルを握る先輩に尋ねる。 「うん。 混んでなかったら10分くらい早く着くかな」 「……」 それもそうだよね。 先輩は時間が限られているんだから、余裕を持って到着するように効率の良いルートを選んで当然だ。
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