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三歳の時、親に捨てられた。
意思はある。言葉も(多少は)話せる。
しかし何かを成すには知識も体力も経験も、何もかもが足りなかった。
唯一分かっていたこと。この先に待つ死という絶対的な運命。
そうして私は発狂し、生きる術を手に入れた。
五歳の時、生涯の友と出会った。
私は自分以外のヒトというものを知らなかった。
と言うより、私はあの時ヒトだったのか。ただ野生に生きるモンスターと同じではなかったか。
しかし言葉は違えど生への意識(本能とでも言うか)は同じ。
自分と同じ、仲間と出会った。
八歳の時、人里を目指した。
生きること。そのために戦うことに飽きてきたからだ。
いや、怖くなったのかもしれない。
何も知らないまま、力こそが全ての世界で戦いに明け暮れる日々。
そうして命を奪い喰らうこと。
世界にはもっとたくさんの無意味な活動があり、それは同時に誰にも理解のできない至上の喜びになるのだと。
私だけの、私が望む幸せを手にしたくなった。
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