ぷろろーぐ(仮)

2/4
326人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
三歳の時、親に捨てられた。 意思はある。言葉も(多少は)話せる。 しかし何かを成すには知識も体力も経験も、何もかもが足りなかった。 唯一分かっていたこと。この先に待つ死という絶対的な運命。 そうして私は発狂し、生きる術を手に入れた。 五歳の時、生涯の友と出会った。 私は自分以外のヒトというものを知らなかった。 と言うより、私はあの時ヒトだったのか。ただ野生に生きるモンスターと同じではなかったか。 しかし言葉は違えど生への意識(本能とでも言うか)は同じ。 自分と同じ、仲間と出会った。 八歳の時、人里を目指した。 生きること。そのために戦うことに飽きてきたからだ。 いや、怖くなったのかもしれない。 何も知らないまま、力こそが全ての世界で戦いに明け暮れる日々。 そうして命を奪い喰らうこと。 世界にはもっとたくさんの無意味な活動があり、それは同時に誰にも理解のできない至上の喜びになるのだと。 私だけの、私が望む幸せを手にしたくなった。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!