青春なう(笑)

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オタクという生物は日中は用もなく外出することを拒む。外界が嫌いなのではなく、単純に体力がなく日が照った暑い中を歩き続けるのが単純に辛いのだ。 しかし、日のない午後6時辺りからはオタクは特に外界に嫌悪感を感じなくなる。 この法則をなんと名付けるか、などとどうでもいいことを考えていながら身体はその法則通り見知らぬ道をぶらぶら一人で歩いていた。もちろんこの法則が全てのオタクに当てはまる事は無いと思うが、当てはまる者もいるのではないだろうか。 現在時刻は午後6時半、言うなればスーパーオタクタイムのこの時間を満喫している。 日中とは打って変わって涼しい風が吹き、海からくる塩の独特な匂いも心地よい。 とても人通りが少なく、電柱の間隔もとてつもなく広く、殺人が起きても誰も気づかないような道な上に不気味な程に静かだったので、俺はネットのマップで家までの最短ルートを検索し幽霊を怖がる子供のように早足で歩いていた。 するとふと、電柱の明かりも届かない様な場所にぽつんと、黒い長髪が特徴的な女の子が座っていた。こんな幽霊さんいらっしゃいな場所にひとりで女の子が座っている上に黒髪長髪ときた。なんと思うかは明白だった。目が合った時とても驚いていたような気もしたが、気のせいだ。俺は何も見ていないことにし、気にせず早足で家に帰ることにした。
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