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二人の少女たちは、楽しそうに会話をしながら廊下を通り過ぎていった。
彼女たちが立ち去った後、どこからともなく男子たちの満足げなため息が聞こえてきた。
きっとクラス中の男子が二人の姿を目で追っていたのだろう。
平凡な俺たちには、到底手の届かない高根の花である二人を見送った後、松田が再度尋ねてくる。
「なぁ、お前、美乳派? それか、美脚派?」
本人たちがいなくなったからなのか、随分な言いようだ。
そろそろ、答えた方が良いか。
俺は意を決して、口を開いた。
「あー、俺、」
そのとき、俺たちの横から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あんたたち、本当に馬鹿な会話しかしないのね」
そこには、ポニーテールを揺らして、腰に手を当てた加藤の姿があった。
俺たちのもう一人の幼馴染だ。
話を中断された松田が少しつっかかるようにこう言った。
「悪いかよ。男だって恋に夢見たりするんだよ、なぁ満?」
俺に話をふる松田。
巻き込まれたくはなかったけど。
「まぁ、そうだな。男だって、胸キュンくらいはするしな」
俺の返事に呆れ返っている加藤。
そんな目の前の幼馴染を見て、俺は一人、心の中で納得した。
高根の花二人には、悪いけど。
あ、あと松田にも。
やっぱり俺は幼馴染派だな、うん。
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