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 案内表示に従って移動し、スクリーンに入場。指定された座席へ向かった。  すでに予告が始まっていて室内は暗かった。  通い慣れた映画館とはいえ、自分で指定したわけではないから座席の場所がわからず、少しもたついてしまった。  普段なら、近くもなく遠くもない真ん中の辺りを指定するが、そのチケットの席は一番後ろ。しかも通路のすぐ横だった。そのスクリーンの座席は中央に通路があって、彼らの席はその左側の一つ目と二つ目だった。  彼女は前のほうが好きだから、きっと嫌がっただろうなぁ。  そんなことをふと思いながら、椅子に腰を沈めた彼は、まずコーラを手すりの先についている穴に入れて、空いた手にポップコーンを持たせ、肩から下げていたカバンを取って隣の席に置いた。それからあらためて姿勢を整えた、ポップコーンをこぼさないように気をつけて。  ようやく一息つけたところでちょうど予告が終わり、早くも本編が始まったため、間に合ってよかったと安堵した。  すると、お腹の携帯電話がふいに震えた。そういえば電源を切り忘れていたと気づき、急いで確認すると、メールが一件届いていた。  彼女からで、件名は無く、 『ごめん いま おきた』  そんなカタコトな一文だけが書かれていた。     
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