ひじきのこころ

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そんなことをしているうちに、ちいちゃんはいつもの服にきがえてリュックを背負っていた。きっと毎日同じところにいくんだ。どこにいってるのかはわからないけど、ちいちゃんがちいさいころはよくそこからまりちゃんやこうちゃんをつれて帰ってきた。こうちゃんはぼくのしっぽを掴むからあんまり好きじゃないけれど、まりちゃんはぼくをいっぱい撫でてくれるから大好きだ。ぼくが撫でられてうれしいところをまりちゃんはよく知っている。なんでかはわからないけど、まりちゃんの手はすごくやわらかいからきもちいい。でもやっぱり、一番好きなのはちいちゃんだ。きっと今も、ちいちゃんが通うところにはまりちゃんやこうちゃんがいて、いっしょに遊んでいるんだろう。 「いってきます!」 玄関から声がきこえた。ぼくは急いで玄関に走る。おみおくりはぼくの仕事だ。ばたん。玄関はおおきな音をたてて閉まるところだった。ああ、おそかった。悲しいけど、またすぐ帰ってくるから会えることをぼくはよおく知っていた。ちいちゃんが帰ってきたらなにをして遊ぼう。最近パパにボールをもらったから、それをちいちゃんになげてもらおう。 たのしみだ。ぼくはリビングにボールをさがしにいった。 「ただいまー」 ぼくがリビングで寝ていると、ちいちゃんが帰ってきた。急いで玄関に走る。 「お、犬だ」 知らない人がいる。 「だ、誰だ!誰がこの家に入っていいっていった!」 ぼくはこのどろぼうに向かって大声で叫ぶ。知らない人が家に入ってくることを「どろぼう」ということをちいちゃんに聞いたことがある。どろぼうは退治するのがぼくの仕事だ。 「あ、ひじき、ただいま」 なんてことだ。どろぼうのうしろにちいちゃんがいる。ぼくはうれしいのかこわいのか、追い払わなきゃという気持ちで「おかえり!」と叫びながらちいちゃんとどろぼうのまわりをまわった。 「はは、ひじきだいじょうぶだよ。これはようくん」     
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