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…
もう少しね、
頑張れなくてね、
ごめんね…
こんな感じですわ。
『え??
どー言うこと?』オレは問う
抗がん剤も…全部。
治療を…もうね、止めたんだよね。
だからこぅやって通話出来るんだよね。
叶翔は淡々と電話の向こうで言ったね。
普段は方言丸出しなのに、
この日はこんな話し方だったね。
そして叶翔が
「俺のお願い聞いてくれる?」
『…なに?』
オレはやっと声に出して聞いた。
「死ぬまでね、俺の大切な人でいてくれると?」って、聞いたよな…
オレは流れる涙も拭わず何度も声にならない声で『うんうん』って言ってうなづいたんだよ。
「死ぬ事なんてね、全然怖くなかったんだあ…
でも なにも言わずに消えちゃったら
佑どうなるんだろ?って考えたらあかんくなって…
大切な人の大切さも知らずに死ねたのに…本当に。
佑君に出逢っていなければ……」
叶翔は電話の向こうで鼻声で話した。
オレは止める事も出来ず涙を流しながら聞いていた。
「佑君泣かんで…」
その声を聞いて嗚咽する19のオレ。
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