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四十九日の友引
私は生まれたときからそれを見ていた。
でも小さい頃はほとんどちゃんとそれを目に捉えたことはなかった。
それを見つけると、皺だらけの手が私の目を覆う。
そして、呟きが聞こえる。今から思うと数を数えていたり、急急如律令だとかそんな言葉だった。
しかし、その呟きが終わると、それはいなくなっていて、振り返ると祖母がいた。
それは、私と祖母にだけ見えているものだったのだ。
そのものがどういうものなのかをはっきり認識したのは幼稚園の帰りだったと思う。
そこは、当時は駐車場だった。
まず目に入ったのは花だった。
地面の上に色とりどりの束にされて牛乳瓶に生けられていたり、セロファンに巻かれて備えられている花。小さかった私は、綺麗な物に惹かれ、近づいて行った。そして、その前に立つ男の子の後ろ姿に気がついた。
少し年上の子だ。そう思って見ていると、突然、その男の子の頭が裏返ったのだ。コトンと音がするように突然に。
目の上に口がある。さっきは私より少し背が高いぐらいだった男の子の顔は今は逆さまに私を見上げている。男の子の首は丁度首の部分が折れ曲がるようにして、斜めにねじれるように折れていたのだ。
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