第四章 士官候補試験

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第四章 士官候補試験

あれから7年経ち、僕は12歳を迎える頃となった。そして、皇都トーキョーに出発する前日を迎えた。僕は、皇軍の士官候補試験を受けるのだ。士官候補であるからして、本士官ではなく、士官への下積み期間扱いで、雑用をこなす事が義務付けられているが、その期間内におけるミッションで一定以上の成績が認められれば本士官への道が開ける、という事らしい。皇軍、特に皇軍レンジャー部隊は世界的にも厳しい訓練と共に優秀な部隊として名を馳せている。士官する者達は、レンジャー部隊に入る事を最大名誉としているが、まあ、女性、恋人や奥君には理解されない事として有名であるという悲しい裏話も存在する・・・・・・らしい。 「リオ、忘れ物は無い? 籍の証明も入れたね、これが無きゃあ意味が無いからね。着替えもある程度入れてあるからね、向こうでも洗濯はできるみたいだから問題無いと思うけどね。母さんって大変だな・・・・・・って思うわ。生きている内に逢えるかわからないけどね・・・・・・」 エルフ界では純血である事が第一であり、混血は排斥される。だから、ハーフである母さんは、エルフの里に入る事は認められないのだ。 「きっと、生きている内に逢えますよ、母さん。僕は、母さんの為ならば、エルフを敵に回したとしても、母君と再会できるように力添え致しますよ!」 僕は、母さんを励ます。 「リオ、ありがとう!」 母さんは、僕を抱き締めた。 「どういたしまして! 母さん、一人で抱え込まないで、僕やグレンさんに言って下さいよ? グレンさんじゃあ、頼りにならないかもしれないけどね?」 僕は笑顔で返す、笑顔で話すという事が自然にできるようになったのは母さんのお陰だよ、前の世界、日本では家族や知り合いと心からの笑顔で話すという事は無かったと思う。 「ありがとう。確かにそうだね。アイツと話すと喧嘩になってしまう事ばかりだものね!」 母さんも笑顔で返す。 「まあ、でもグレンさんは協力してくれると思いますからね!」 「そうだね。リオ、相変わらず、その呼び方変わらないね?」 「そうですね。父さんというより師匠の要素が大きいですから・・・・・・」 「脱線しちゃったね? 後、試験用の木剣は向こうのだけど、護身用に一本入れて、お金も余裕分入れて置くね?後、水筒も・・・・・・」 大分脱線してしまったけど、準備物の確認は着々と進んだ。
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