第三章

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倒れる寸前で佐々木に腕をつかまれ、私は重力に逆らって戻ってこれた。 あー、危なかった……もうちょっとで地面と激突するとこだった……。 ホッとして見上げた先に、肩で大きく息をしている佐々木。 あの告白から再びご対面をはたした。 お互いに目を合わせて同じタイミングで口を開く。 「なんでここに?」「何やってんだよ!」 前者が私で後者が佐々木。 ピッタリそろってしまった発言に2人して目を丸くし、再び同じタイミングで口を開く。 「なんで学校の方から来るの?」「なんで前見て歩かないんだよ!」 質問攻めの私と、何故か口調の荒い佐々木。 え、怒ってる? またも目を合わせて、お互いに瞬きをする。 「なんで怒ってるの?」「なんで俺だけおいてくんだよ!」 なんでこうも話すタイミングが重なってしまうのだろうか、 「おいてってない」「怒ってない」 なんだかコントみたい。 私はしゃべるのをやめ、お先にどうぞと身振りで佐々木に会話を譲った。
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