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いつもの醤油ベースのスープではなく、ゴマだれになっている。
厨房を見ると、カイ君がニコリと笑ってくれた。
カイ君が特別にゴマだれ仕立てに、してくれたのだ。
カイ君は、周りを見渡して誰も見ていないことを確かめると、人差し指を口に当ててシーとポーズをとった。
その、しぐさに胸を射たれた私は、高速で縦に首をふる。
マヨアートも皿の縁に「ヒミツだよ」と描かれていて、ますますカイ君に心を奪われた。
それからカイ君は、手を変え品を変え趣向を凝らした冷やし中華を出してくれた。
どうやって作ったのかトマト味のスープの時もあった。
あれは、美味しかった。
いつも美味しいけどトマト味は、格別だった。
そんなこんなで冷やし中華の禊、三週間が経った。
朝、いつもどおり会社に出社した。
ここのところ、昼は冷やし中華ばかりなので、仕事終わりの呑み会に参加をしても直ぐに帰るようにしている。
というのも、うちの部署の呑み会は、シメに必ずラーメンを食べるからだ。
正直、麺の類いを見るのも、もう嫌なので呑み会も顔を出すくらいだ。
私は、部署内で呑み会に必ず参加する酒好きと言われているくらいで、最近は、付き合いが悪いと評判だ。
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