第1章

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 ぼくは幼いころ、何度もくり返し同じ夢を見た。  明るい昼間、ぼくは公園で遊んでいる。ひとりで遊んでいる。砂場で山を作り、滑り台を何回も滑って、ジャングルジムを家に見立てて中に入ったり、登ったり、降りたり。      その時、何かの拍子に缶が転がる。   「カーンッ!」  風のせいなのか、誰かが蹴ったのか、はじけるような強い音で缶が転がる。      見渡しても公園にはぼくひとりしかいない。でも転がるんだ。ぼくはその音に涙ぐむ。これから始まる恐怖のために。      缶が倒れた音が合図になって、それはやって来る。      ああ、まただ。空はいつのまにか燃えるような赤になり、ぼくの体まで赤く染めて、太陽が沈んで行く。      その時ぼくの中には、恐怖と一緒になぜだかその夕焼けをきれいだと思う気持ちも一緒にあって、心はそれを感じるとせつなくなって、弱くなって、やるせなくなって、ぼくの抵抗する術を奪って、ちっぽけな身一つにする。           
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