私の黒縁メガネくん

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私の黒縁メガネくん

珍しく大雪が降ったあの日、私史上最悪の厄日になるはずだった。 高校受験の2日目、私は寝坊して、母と大喧嘩をした。イライラしながら母は自宅の最寄駅まで車で送ってくれたが、電車は5分前に出て行ってしまった。高校の最寄駅までは、電車を乗り継ぎ30分以上かかる。母と大喧嘩をし、今から仕事に行く母に高校まで送ってくれとは口が裂けても言えなかった。私の頭は不合格の三文字で真っ白になった。 ただ私はまだ諦めるわけにはいかなかった。どうしてもあの高校へ入学したかったからだ。だって、昨日あの高校の受験会場で彼に出会ってしまったのだから。 それは突然だった。目の前に黒髪の黒縁メガネの王子様が現れたのだ。彼の友達に向けた笑顔に一瞬で心を鷲掴みにされてしまった。この世にこんなにも黒縁メガネが似合う人を見たことがなかった。私の黒縁メガネくん。私の一目惚れだった。 「まずは落ち着け、自分」     
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