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序章 無垢な願い
大人になるって素敵なことだと思ってた。
でも、どうだ?
なんのために生きているのか
わからない世界なんか消え失せろ!
世界が消えないなら俺が消えるだけ
自殺に失敗した15歳の誕生日
俺は運命の人に出会った。
彼女は俺なんかよりもずっと深い闇を抱え
生と死の狭間でもがいていた。
人は自分より苦しんでいる人を見ると
冷静になる。
自分一人では解けない問題を解くヒントを
気付かないうちに受け取ることを
彼女が教えてくれた。
俺の彼女は
俺と出会う前、男として生きていた。
いや。男とか女とか、どうだっていい。
性別なんて俺たちのあいだではなんの障害にもならない。
だけど、解せないのは
誰ひとりとして彼女の素晴らしさに気付いていなかったことだ。
それを、俺が見つけた。
つぼみは俺だけの幸運の女神。
キリ
* * *
私を抱いて。
上書きして。
私の記憶の奥に眠るあいつの全てを掘り起こして。
偽りの愛しさも
止まない憎しみも
拡がり続ける虚しさも
もうなにもかも全部私から消してしまいたいから。
私の心に染み付いた弱い自分を
許してあげようと思う。
あなたとこれから永遠に生きていくために。
つぼみ
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