第1章 20170401

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「どした?何かあった?」 真面目で友達思いである弘樹(ひろき)が心配そうに声をかける。 「あのさー、実はさ…」 悲しそうな顔(のふり)で、翔は(さも)重い(かのように見せている)口を開き、続ける。 「おれのじいちゃん、昨日死んじゃったんだよね…。」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「嘘つけーーーーーーーーーい!!!!!!」 仁平(じんぺい)が声高に叫ぶ。 「いや…、嘘じゃないし」 「いーや、嘘だね!だって今日エイプリル・フールだもん!」 「…バレた?(笑)」 今日は4月1日。『エイプリル・フール』だ。この日だけはどんなに嘘を言っても許される日であり、人々がこぞって嘘を重ねていく日である。 場所によっては4月の正午までしか『エイプリル・フール』は適用されないのが正しいとも言われているらしいが、そのあたりは日本では曖昧になっており、「4月1日の間」嘘をついてもいいこととなっている。 「いやー、実はさ、俺もばあちゃんが死んじゃってさー。」 「いやもう遅くね!?流れ的にすぐ嘘って分かるくね!?」 弘樹の下手くそな嘘に仁平がハイテンションでツッコむ。 そんな下らない話をしているうちに、翔の家まで着いた。翔は弘樹と仁平に手を振って別れを告げ、自分の家の玄関を開け、家に入る。 「ただいまー!」
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