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時間は朝の10時。目を開けると、見慣れた天井が、眼前に広がっている。
「夢か…。なんか、気持ち悪い夢だったなぁ」
翔は安堵した。
夢でよかった。まだ血しぶきが頭の中に残っている。だがこれは夢だ。どうせいつか忘れる。
今日も昼から弘樹の家に遊びにいく予定だ。それまで家でのんびりしていよう。
両親は共働きだ。今はどちらも家にいない。
祖父母はおそらく隣の部屋でのんびりしているのだろう。
翔は用意されていた、朝食なのか昼食なのか分からない食事を取る。
足音がする。長い廊下から祖父が翔の様子を見に来た。
「翔、飯食べたらじいちゃんと一緒に将棋でもせんか」
「いやだよ、おもしろくない。てゆーか、弘樹の家に遊びに行くし」
「…そうか。また弘樹くんに将棋を教えてやりなさい」
「なんで俺が弘樹に将棋を教えないといけないんだよ。てか何しに来たの。」
「いや、ちょっと様子を見にな。寂しいだろうと思ってじいちゃんが話し相手になってやろうかと思っての。」
「じいちゃんと話してもおもんないんだよ。大丈夫。」
「…そうか。相変わらず口が悪いの。じゃあの」
「…ふん」
翔はあまり祖父が好きではなかった。なぜかと言われるとあまり具体的には言えないが、強いて言うと口うるさいからである。
「…なんか、あんまりおいしくないな。」
味気ない食事をさっさと済ませ、ぼーっとテレビを見る。
度々チャンネルを変え、飽きたら外出の支度を始める。とはいえ、服を着替えるだけなのでそうそう時間はかからないのだが。
「…さて、気を取り直して、弘樹の家に遊びにいくか。」
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