弐:ケガレある乙女

8/18
155人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
「あたし、いつ帰れる?」 「それはコク様にお尋ねください」 「コク様って、誰?」 「この“下総ノ国”に居られる“神獣”様にございます」 といった具合で、一問一答状態だったのだ。 「すぐに……か。ふむ、それは難しい相談じゃのう。 おぬしがこの“陽ノ元”に召喚されたのが(もち)の晩。それは、“召喚の儀”を行うための条件のひとつであると聞いておる。 対して、“返還の儀”を行うのは(さく)の晩となるからの。 おおよそ半月後となるはずじゃ」 「…………半月後!?」 反応が遅れたのは、闘十郎の話が長くなりそうで流しぎみに聞いていたからだ。 しかし、セキコの言葉を鵜呑(うの)みにしていた美穂は、その日数に驚きより怒りが勝ってしまう。 「あいつ、すぐにでもって言ってたのに!」 「……セキがか? 確証のないことを申すとは、あやつらしからぬことじゃな。……なるほど」 かすかに笑みを浮かべ独りごちると、闘十郎は美穂に目を向けた。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!