弐:ケガレある乙女

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夕食も摂り、風呂にも浸かり、あとは寝るだけ。となっていたのだが。 長年の夜更かし習慣からは抜けきれず、美穂は眠れぬ自分を持て余し濡れ縁へと出ていた。 そこへセキコがやってきて、ふたり顔を合わすなり同時に口を開いたのだった。 「……魂年齢の話よ。 見た目はあんなでもコクのじい様は、アタシよりも五十年以上長く生きているわ」 美穂の疑問に、素っ気なくセキコが応じる。 へぇ、と、相づちをうち、美穂は問いを重ねた。 「で? そういうあんたの魂年齢とやらは、いくつなの?」 「……え?」 初めて『素』の顔を向けられた。 女装いと女の口調。常に余裕綽々(しゃくしゃく)で作られたような表情の青年が見せた、本気で驚く様。 なんとはなしに訊いた美穂のほうが、その反応に驚いてしまう。 「え、って……まさか、自分の歳も解らないとかいうオチ?」 こちらの世界に来てから、たびたびある自分の常識が通用しないという事態。 またかという思いから、美穂はあきれ半分であでやかな美貌の主を見上げる。 すとん、と、気が抜けたようにセキコは美穂の隣に腰を下ろした。
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