弐:ケガレある乙女

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「……二十一年経つわ、生まれてから」 「ふーん。あんたの場合は、外見のほうが老けてるワケね。 ……ホント、ここって変な世界」 ひざをかかえた美穂は、ふたたび片頬づえをつく。 隣で、セキコが身じろいだ。 「髪、触れてもいい?」 「は?」 「動かないで」 「えっ、ちょっと……!」 自分のほうに身を乗り出してきたセキコに、美穂は思わずのけぞった。 大きな手のひらが追いかけてきて、美穂の髪を()くようになでる。 半眼に伏せられた長いまつ毛と通った鼻筋。形の良い唇が近づいて、美穂の胸の鼓動をいやが上にも高鳴らせた。 「や、やだ……!」 気持ち悪いとか、怖いとか。そういう類いの『拒絶』ではない。 だからこそ美穂は、自分の感情にとまどった。 あえて表すなら、それは、恥じらいというものだ。 「……コクのじい様に、聞いたでしょ? “神籍”にあるとはいえ、病にもなるってこと」 するりと離れていく、セキコの手のひらと身体。代わりに告げられる言葉に、理解が追いつかない。 「……なに言ってんの、あんた」 「なにって……ちょっとヤダ、あのジジイ、きちんと説明しなかったの?」
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