さわ子の思い1

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「オッケー……」 さわ子はちっせぇ声でわざと呟いてみて、 浅尾さんがアパートを出るのを確認してから、 後を追う様に職場へ向かう。 浅尾さんが住むここへ越して2ヶ月経った。 まだ同じアパートに住んでることはバレていない。 バレたら何て言うかな?と考えただけでドキドキする。 彼は元職場の先輩だった。 でも突然転勤になり隣の県へ引っ越した。 それを追っかけて来たのだ。 送別会で偶然引っ越し先を耳に挟んでしまったから。 猛然と引っ越しの準備を進め職を探し、今ここにいる。 こんな突飛な行動に自分でも驚いている。 田舎の実家でのびのび生きてきた。 のろのろしてたら人生のなんか色々に乗り遅れて普通の20代女性が出会うような経験を逃している気がする。 浅尾さんの後ろ姿を見ながら朝日が出たばかりの道を歩くのが大好きだ。 彼の少し肩が斜めに下がったふわりふわりとした歩き方をみると和む。 全体的にこじんまり歩く彼は朝日を浴びて天使みたいだ。
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