まぶしい光

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まぶしい光

 部屋の配置の都合で、ベッドを窓際に置いている。  幸い東向きではないので、寝ている所に直射日光を浴びることはなく、一応安眠を得られていた。  でも昨夜はその限りじゃなかった。  ハードな仕事を終えて部屋に戻り、シャワーだけ浴びてベッドに倒れた。…それからどのくらい経っただろう。  閉じたままの目元に、やけにまぶしい光が当たった。  もう朝だ。  脳が反射でそう考える。でもまだ寝ていたいと思う脳の別の部分が、全力でその意見を否定した。  朝だとしても、自宅のベッドでこんなまぷしい光が当たることなんてない。だからこれは夢だ。光なんて幻だ。  でも目に当たる光はどんどん強くなる。次第に暑さも伝わり出す。  これ、太陽だろ。もう朝だろ。だったら起きなきゃ。  そう思った俺の耳に、窓の外から虫の声が響いた。  物語に出てくるような昔は知らない。でも今時、朝だろうと昼だろうと夜だろうと、虫は好き勝手に鳴くよな。真っ昼間にちょっと草むらに足を踏み入れたら、虫の声がしたとか普通だよな。  でもどうしてか、この時の俺は、虫の声が響くのはまだ夜だから。そういう思考に陥ったんだ。
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