寝起きの君と、

6/7
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「行く」 「即答かよ」 「たりめーだ」 きっぱりと言い切ると、動かないから断られるかと思った、と苦笑された。 風斗の家は、がらんと広いが居心地はいい。風斗と一緒にいるのも嫌いじゃない。 何だかんだ言ってみても断る理由なんてどこにもないのだ。 それに、と付け加える。 「飯、作ってくれんだろ?」 ニヤ、と笑いかけると、風斗の顔がひきつった。この顔を見るのもまた楽しかったりする。 整った風斗の顔が歪むのは、見ていてちょっと、いやかなり面白い。 「え、まじで?」 「まじで。」 にっこりと笑顔で言えば、今度は目を逸らされる。 風斗は料理が得意だと、どれだけの人が知っているだろうか。面倒だからといって普段人に振る舞うことはほとんどないが、その腕前は結構なものだ。 「やだ。めんどくさい」 「やだじゃねぇよ。誘ったのお前だろ?」 「えー…」 「てか俺今日、肉食いてぇ」 「無視か。って肉?無いし、肉とか」 貧乏学生になんてこと言うの、なんて軽く演技がかって言われる。なんと言われようと食べたいものは食べたいんだ。育ち盛りなのに少食な風斗にはわからんだろうが。 「帰りに買ってきゃいーだろ。別に安い肉でいって」 俺もちゃんと金は出すって、と付け加えれば、しぶしぶといった感じで納得した。よっしゃ。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!