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やっと帰れる、と思ったところで、1つ忘れてはいけないことに気がついた。
「あ、母さんに連絡だけ入れるわ」
「あぁ、泊まりのこと?」
「おう。一応な」
言いながら携帯を取り出し、 母さんに短いメッセージを送る。
『今日、風斗ん家泊まる。』と送ったら、30秒ほどですぐ返事が来た。
『りょーかいです(・ω・)またお話聞かせてね』
『おう。なんかあったらすぐ連絡しろよ』
『今日は元気だから大丈夫!』
『そうか(笑)ならいい』
数回やり取りして、携帯をズボンにしまった。
その間、ぼんやりこちらを見つめていた風斗だったが、俺が目で帰宅を促すと、んー、と伸びをして机の横に掛けてあったカバンを手に取った。
「しゃーねぇかぁ。…よっこらしょーっと」
椅子を引いて立ち上がった時に何気なく、といった風に出た単語。見た目美青年には似つかわしくないその言葉に、思わず笑ってしまう。
「よっこらしょ、ってお前。おっさんかよ!」
笑って茶化せば、ぽふっ、と頭に軽い衝撃。
空いている手を俺の頭に乗せて、少し不満げな顔をする。
「うっせ。…じゃ行きますか、わがまま王子」
「だぁれがわがまま王子だ」
くだらんことを言うバカのケツに一発軽く蹴りをいれて、2人で教室を後にした。
寝起きの君と、
さぁ、これからどう過ごそうか──
END.
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