72年ドロップ

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72年ドロップ

 「まじで? 同じクラスじゃん~」  「よかった~ぼっちは回避できて」  俺の耳には女子高生の声がこだまする。俺は一人で自分の名前を探す。  2年6組37番 山下 世海(やましたせかい)  去年と同じだ。ただ違うのは学年だけ。  クラス替えは年に一度の一大イベントだが、SNSを見ればクラス替えについて賛否両論をしているのをよく見る。  俺はいつもと違う階段を登り教室に入る。37番は大体窓側だ。俺はチャイムが鳴るまで座ることにする。本は持ってはいるが今日は読む気にはならない。いつもと違う環境だからか?  本を読まないとなるとすることもないので、周りを見て見る。  教壇の上には昨日SNSで「絶対明日はぼっちだわ(泣)」と言っていた奴が友達と同じクラスになり大声で歓声をあげている。一方、本当にぼっちになった奴は、他のクラスに行き絶望している様子だ。しかし、ああいう奴はなんとかグループに入ろうと仮面をかぶるだろう。いつかあの仮面が割れるのか楽しみだ。最近の女子高生はぼっちになりたくなく、意地でも「私、友達いますよ」とアピールをするが、ぼっち気味の男子と喋る女子もいる。俺はああいう奴の方が賢いと思う。     
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