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 ある朝、小道の十字路で緑色のお爺さんを見つけた。  お爺さんの素肌の見えている部分は全て緑色だった。顔も、手も、首も。あまりに驚いた僕はお爺さんに話しかけた。  なぜあなたは緑色なのですか、と。  お爺さんはこう答えた。 「昨日、ある研究所で薬を買ったんだ。一生ご飯を食べずに生きていけるようになる薬だという。正直胡散臭かったが、安い薬だったので試しに買って飲んでみた。そうしたら本当に何も食べずに空腹を感じなくなったが、鏡を見たらこの様だ。ご飯を食べずとも生きていけるのは凄いことだが、こんな全身緑色では困るでな。今から昨日の研究所に行って、やつらに理由を聞いてくるところだ」  そう言って緑色のお爺さんは、朝日を背に小道の十字路を歩いてどこかに去って行った。
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