人を探しています

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
プロローグ  今をさかのぼる事30年前。   『ZERO★FIGHTER』という、学生を中心とした素人のロックバンドが存在した。  速いテンポの曲を得意とし、明るいサウンドの曲が多かった。  メンバーは、GtVo中塚瑛太、Gt糸原直樹、 Ba本間健、Dr桐生雅也の4名で構成されていた。  糸原以外は、地元の同級生で構成されていた。  糸原は背が高く、ギターを腰の位置で引くスタイルで、男女問わず人気があった。  あまり複雑なコード進行や技術は要さず、基本的にはスリーコードが中心であった。  糸原のサウンドはエフェクターを使った、歪み系のサウンドで、ピンクを基調としたファッションをしていた。  どちらかというと、UKロックが好きではあるが、意外となんでもそつなくこなす。パワー不足ではあるが、それがまたZERO★FIGHTERの音色と中塚の高音の声に、ピタリと嵌っていた。音楽をやるのは学生時代だけと決めており、それを条件にZERO★FIGHTERに携わった。  背の高さにくわえ、その奇抜なファッションは、またたくまにあちらこちらに広がって行った……。  リーダーはドラムの桐生雅也。  桐生も平均身長より少し高めで、そして体格が良く、腕っぷしが強かった。  中塚とは幼馴染で、気心がしれた旧知の仲であった。  幼稚園の頃から大学まで、ずっと一緒であり、特に10代の頃はロックと喧嘩にあけくれた、そんな経歴を持つ。  アメリカンロックが好きな、パワー型。  本間はインテリタイプで、学業優秀。チェスが得意でメガネをかけた細身の体型。何事にも真面目に取り組み、ベースも練習量は人一倍。そんな負けず嫌いの一面も持ち合わす。ZERO★FIGHTERの頭脳塔。中塚や桐生とは小学生からの馴染み。良くも悪くも、ふたりの良き理解者である。ハードな曲からジャズノリの曲までこなす。  中塚は短気ですぐにケツをまくる。まっすぐな性格ゆえに、年中人と衝突してしまうが、けっして悪気はない。アメリカンロックが大好きな喧嘩屋。平均身長だが、喧嘩は強く、ストリートの鬼と呼ばれていた。  肩がふれれば、先手必勝。 あいての顔面にワンパンを入れてしとめる。 「俺は真壁中の中塚だ! 仲間つれていつでも来い!」  地べたにうずくまっている学ランを着た男にそんなセリフを吐き、肩で風を切りながら、夜の街へと消えていく……。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!