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プロローグ
今をさかのぼる事30年前。
『ZERO★FIGHTER』という、学生を中心とした素人のロックバンドが存在した。
速いテンポの曲を得意とし、明るいサウンドの曲が多かった。
メンバーは、GtVo中塚瑛太、Gt糸原直樹、 Ba本間健、Dr桐生雅也の4名で構成されていた。
糸原以外は、地元の同級生で構成されていた。
糸原は背が高く、ギターを腰の位置で引くスタイルで、男女問わず人気があった。
あまり複雑なコード進行や技術は要さず、基本的にはスリーコードが中心であった。
糸原のサウンドはエフェクターを使った、歪み系のサウンドで、ピンクを基調としたファッションをしていた。
どちらかというと、UKロックが好きではあるが、意外となんでもそつなくこなす。パワー不足ではあるが、それがまたZERO★FIGHTERの音色と中塚の高音の声に、ピタリと嵌っていた。音楽をやるのは学生時代だけと決めており、それを条件にZERO★FIGHTERに携わった。
背の高さにくわえ、その奇抜なファッションは、またたくまにあちらこちらに広がって行った……。
リーダーはドラムの桐生雅也。
桐生も平均身長より少し高めで、そして体格が良く、腕っぷしが強かった。
中塚とは幼馴染で、気心がしれた旧知の仲であった。
幼稚園の頃から大学まで、ずっと一緒であり、特に10代の頃はロックと喧嘩にあけくれた、そんな経歴を持つ。
アメリカンロックが好きな、パワー型。
本間はインテリタイプで、学業優秀。チェスが得意でメガネをかけた細身の体型。何事にも真面目に取り組み、ベースも練習量は人一倍。そんな負けず嫌いの一面も持ち合わす。ZERO★FIGHTERの頭脳塔。中塚や桐生とは小学生からの馴染み。良くも悪くも、ふたりの良き理解者である。ハードな曲からジャズノリの曲までこなす。
中塚は短気ですぐにケツをまくる。まっすぐな性格ゆえに、年中人と衝突してしまうが、けっして悪気はない。アメリカンロックが大好きな喧嘩屋。平均身長だが、喧嘩は強く、ストリートの鬼と呼ばれていた。
肩がふれれば、先手必勝。 あいての顔面にワンパンを入れてしとめる。
「俺は真壁中の中塚だ! 仲間つれていつでも来い!」
地べたにうずくまっている学ランを着た男にそんなセリフを吐き、肩で風を切りながら、夜の街へと消えていく……。
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