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俺が住んでる町には、廃病院がある。その廃病院は、随分と昔に潰れてしまったそうだ。噂ではその廃病院は、病院として機能していたときのままで残っているとか。俺は友達数人に誘われて、その廃病院に来た。今は昼の二時だが、電気も点いていない廃病院の中はとても暗い。友達に言われて懐中電灯を持ってきていて良かった。馬鹿みたいに騒ぎながら、俺達は廃病院の中をまわった。
俺達は廃病院の中を全部まわった。怪異現象は何も起きなかった。
皆、愚痴を言いながら、廃病院を出ようとしたときだった。
「なあ、せっかく来たんだし。来た証拠としてさ、このカルテとかでも持って帰ろうぜ」
なんてことを、一人が言い出した。皆もそれに賛成した。
「じゃあ、ジャンケンで負けた奴が持って帰るってことでいいな」
皆、異存は無かった。ジャンケンの結果、持って帰ることになったのは、俺だった。俺達は廃病院を出た。
「明日、学校に持って来いよー」
「ああ、分かった」
そして、俺は家に帰った。
家に居るのは、俺一人だ。持ってきたカルテを見ていると、突然、電話がかかってきた。
俺は電話をとった。
「もしもし。○○病院ですが、××さんのお宅でしょうか」
「っ!? 」
○○病院って、さっき行った廃病院の名前だよな……。俺は怖くなって電話を切った。
また、電話がかかってきた。もしかしたら、さっきのは友達の悪戯かもしれない。俺はそうであることを願い、その電話をとった。
「もしもし。○○病院ですが、××さんのお宅でしょうか。お宅にあるカルテ、お返しください」
「おい、お前等の悪戯なんだろ?そういうのは、やめろって」
そう言ったとき、俺は思い出した。俺は、友達に家電の番号を教えていない。もし、友達が知っていたとしても、電話の相手は女性だ。今日、廃病院に行った友達は全員男。俺は慌てて電話を切った。それからもずっと電話はかかってきていた。俺はその電話をとらなかった。少し時間が経ってから、インターホンが鳴った。
「はい」
「○○病院ですが、お宅にあるカルテ、お返しください」
俺は、慌ててインターホンから離れた。まだ、インターホンは鳴っている。ずっと、ずっと、ずっと、ずっと……!!気が狂いそうになった。俺は、自室の布団にうずくまって、耳を塞いでいた。
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