プロローグ

3/3
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
巧は言った。 「やっぱお前に普通は似合わないよ……」 縁は少しムッとして言った。 「たっくんまで何を言ってんだよ」 すると、お約束通り客が1人来店した。こんな時間に来るのは1人しかいない。 「マスター、アイスカフェだ」 桃子だった。 巧は言った。 「いらっしゃい先生……アイスカフェね」 桃子は縁の隣に座り言った。 「明日から新学期だな」 「桃子さんも大学だろ?」 「私は休みが長いからなぁ……」 桃子は怪訝な表情で言った。 「どうした縁?元気がなさそうだが」 縁は言った。 「別に……ただ、もうすぐ秋だと思ってね」 桃子はニヤニヤしながら言った。 「なるほど……お前、私にあまり会えなくなるから寂しいのだな」 縁は呆れて言った。 「何でそうなるんだ?」 桃子は気にせず言った。 「今日……百合根神社で祭りがあるぞ」 「そうなの?」 「縁は帰国してそんなに年月が経っていないからな……知らなくても仕方がない」 「そんなものがあったのか……」 桃子は言った。 「今晩行くぞ」 縁は言った。 「何を勝手に決めてる」 すると、桃子のアイスカフェを持ってきた巧が言った。 「行ってこいよ縁……年に一度の地元祭りだ、夜店も沢山出て結構楽しいぜ」 縁は呟いた。 「祭りか……高校生らしくていいかもな」 桃子は笑顔で言った。 「決まりだっ!」 縁は呟いた。 「まぁ、いい思いで作りになるか……」 こうして今晩、縁と桃子は夏祭りに行く事になったが……。 ただの夏祭りですむはずがない。 事件を呼ぶ人がいるのだから。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!