【第二章:スズと風のサーカス団シルフ 二十一】

5/7
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
 あれから何分くらいたったのだろう。  声もなく泣いているフーカの傍で立ち尽くしていたスズは、ふと、自分の風雷石が白い光を発している事に気が付いた。  白い光は自分が“手放すべき”事があるサインだ。  スズは思い立ったように、バッグから電子辞書を取り出した。 「……ええと、ひょっとしたら、こっちの世界にも『花言葉』ってあるのかもしれないけど……。あ、これ、辞書で、カラー画像付きで、けっこう色んな事が載っててさ、それでさっき調べてみたんだけど」  しどろもどろに何か言いだしたスズに、フーカは疑わしげな視線を向ける。 「地球ではさ、その、写真に写ってるやつ。 『チューリップ』の花言葉って全体では、“『博愛』”とか“『思いやり』”なんだけど」  電子辞書をスクロールさせながらスズは話す。 「その写真だと、モノクロだから何色かは判んないんだけど……。 “赤は、『愛の告白』”。“ピンクは『愛の芽生え』『誠実な愛』”。 “黄色は『名声』『望みのない恋』”ってこれはまあ置いといて……」  一呼吸おいて、最後にこう伝えた。 「紫は、『不滅の愛』、『永遠の愛情』、だって」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!