【0日目】突然のことでした。

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
午前一時半。 眠れない私は天井をぼーっと見つめながら、お気に入りの毛布に包まっていた。 深夜アニメの録画のためか、大金をはたいて買ったレコーダーがたちあがる音がした。 ウィーーーーーーーーーーーーーン。ピピッ。 (今期のアニメ、チェック出来てないな…) 録りためた動画たちが泣いてる。 ああ、ごめんよ。明日は仕事なんだ。 涙を飲んでギュッと目を瞑る。 …が、またパチリと目をあける。 どうにも眠れない。 (そりゃそうか…) 理由は分かっている。 まるで、それはおとぎ話の出来事のようだった。 今。 この瞬間、この時が夢の中でないなら。 今日あったことは、一体全体なんだったのだろうか。 1人で悶々と頭の中で考えていても仕方がない。 吐き出さないといけない。 心が壊れる、その前に。 私は意を決してのろのろと手を動かし、絶賛充電中のスマホを探り当てる。 手に取り、おもむろに、エブリスタにログインする。 『初めまして、みなさん。今日、私は大変な経験をしました。まるで漫画やアニメのような話に見えるかもしれません。でも、本当にあったことなんです。そう、それは…』 「突然の、こ、と、でし…たっととと!」 たどたどしいフリック入力で手元が狂う。 滑る指。落ちるスマホ。 「ぐぇっ!?」 私は顔面で科学の重さを確かめた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!