淡い夢の終わり

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「おやおや、あの小さなドラゴンですか。まだ小さいながら凄い力でしたよ、ですから研究材料にする為に魔導棟に拘束致しました」 「メイドさん? 魔道棟に案内して下さい」 そう言うとメイドは私と騎士を交互に見て、困惑の声を漏らす。 立ち上がった私の行く手を阻む騎士は、温かさが欠落した瞳を私に向ける。 殺意に背を撫でられた様な感覚が体を這って、本能が駄目だとブレーキをかける。 それでもアイネに会いたい私は、拳を固く握って騎士を睨み返す。 「そこを退いて下さい」 「出来ません」 「私がもしも王なら、貴方は私の命令に従うべきです」 「王の愚行を正すのも騎士の役目。この命に変えてもこの国を正しい方に向かわせます」 無機質な瞳の奥底にある揺るがない意志が、私目掛けて真っ直ぐ向けられる。 こんなに固くてはっきりとした意志を見た事が無い為、少しだけ気魄に気圧される。 「分かりました、その戴冠式っていつからですか?」 「王が準備出来次第始めます、既に国民は城の前で王のお姿を拝もうと待っております」 「メイドさん、お願いします」 「お分かり頂けて良かったです。では、私は失礼致します」 立ったまま低頭した騎士は、踵を返して纏っている鎧を鳴らしながらドアを開ける。 「待って、名前を聞いてませんでした」     
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