学生Aさんの場合

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「うわー、困った! ど、どうしよう!?」 「いらっしゃいませー」 「うわ、なんだコンビニ? なんでこんなところにコンビニが……。いやそんなことはどうでもいい、急がなきゃ!」 「お客様、落ち着いてください。そんなに慌てて一体どうなされました?」 「寝坊だよ! ビックリするほど遅刻したんだ! 今日期末テストなのに、急いで学校に行かなきゃ! 急いでるんだから引き留めんなよ!!」 「あ、でしたらお待ちください。もしよろしければこちらなどいかがでしょうか?」 「……なにこのメニューみたいな紙。しかも、なにこれ……?」 「はい、こちら『遅刻の言い訳』です。最近の売れ筋商品ですよ。一番人気がこの『困っているお婆さんを助けた』税別520円です。裏手にお婆さんが待機しておりますので、そちらの方を手伝ってあげてください。その後ほどお婆さんが学校へお礼のご連絡さしあげる手はずになっております」 「……マジで?」 「はい、他にも『ご家族の訃報』税別2500円、『交通事故にあった』税別1200円、『宇宙人に攫われた』7200円などもございます。どれもすぐにご提供できますよ? あ、もちろんどの商品も安心安全はモットウですので、実害はありません。ご安心ください」 「……この『パンを咥えた女の子とぶつかる』ってのは? あまり言い訳にならなそうだけど……」 「はい、そこはもう大丈夫です。そのぶつかった女の子が怪我をしてしまい、病院まで連れて行くという流れになっております。怪我をさせたということで罪悪感が募るでしょうが、その後きちんと対応してくれた場合はお礼を戴けることになっております。税別700円です」 「ちなみにその女の子ってのは……可愛い?」 「申し訳ありません。キャストとの恋愛までのサポートは別売りになっております。税別62,000円です」 「たっか、てか別売りなのかよ……。じゃあもう何でもいいや、とりあえずこれで」 「はい、それでは756円になります。女の子の咥えているパンは温めますか?」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!