嵐の夜

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 その日は台風が接近していた。 家を出る前のニュースによると、深夜から早朝にかけて、この地域は暴風圏内に入る予想らしい。 『ちっ、めんどくせぇ、、、』 玄関を出ると、空はまだ晴れていて月も出ていた。 風は強く、雲の流れはかなり早かった。 いつもの様に乗りかけた自転車を諦め、徒歩でバイト先に行く事にした。 俺は予備校に通いながら、バイトをしていた。 大学なんかに興味は無かったが、両親もうるさいし、まだ就職するだけの覚悟も無かったからだ。 台風の影響で普段より人通りは少ない。 俺のバイト先は、駅から少し離れた住宅街の端にあるコンビニだ。終電が無くなると朝まで殆ど客も来ない、俺には大変有難い職場だ。
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