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私は照明の消えたケータイのボタンを押して、再度写真を表示させる。机の上に広げられた飛行機雲の写真の傍らに見えたのは、絆創膏だった。勇と藍が好きなキャラクターの……。 「…………え?」 「どうしたの?」 「…………う、ううん」   次第に波打つように速く大きくなる心拍。私は努めて冷静さを手繰り寄せ、その写真の絆創膏に目を凝らす。癒し系のネコのキャラクターがいくつも描かれている。   …………たまたまだろう。こんなの、どこにでも売っている。   そう思いながらも、甲斐くんの指を見た。そういえば甲斐くんに絆創膏を渡した時、怪我をしたと言っていたにもかかわらず傷は見当たらなかった。それに絆創膏……その場でつけなかった。写真が送られてきた時期的にも……合っている。 「…………」   こめかみを伝う汗の冷たさ、震えかかっている手。私は〝そんなはずはない〟と何度も自分に言い聞かせながら、おそるおそる文字を打った。   送信した2秒後くらいに、また甲斐くんのケータイが鳴る。その小さな通知音に、私たち以外の電車の中の色味が全部消えた気がした。喉が渇ききっているのを、唾の飲み込みにくさで初めて気付く。私は横目で、甲斐くんのケータイ画面を覗き見た。 【甲斐くん?】   その画面には、間違いなく私が送ったメールが表示されていた。  
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