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    大学を卒業して、社会人一年目の俺には彼女がいない。恋人が欲しい、と思いながらも女は面倒だと尻込みをしている自分もいる。だけど、やっぱり可愛い彼女がいたらいいなと、いつもどこかで夢見ているんだ。 「木嶋はいいよな、ひとり暮らし始めたなんてさ」 「好きで始めたんじゃねぇよ、実家狭いから仕方なく出て行くしかなかったんだ。弟が自分の部屋が欲しいっていうからさ」  大学時代の友人である吉田は、ひとり暮らしを始めた俺を羨ましそうに見つめた。  休日、車を持っている吉田に頼んで、ホームセンターに付き合ってもらっていた。クローゼットに入れる衣装ケースを買うのが目的だ。ホームセンターは人で賑わっていた。洗剤だの、すのこだの、ペットシートなどが放り込まれた大きなカートを押した家族連れとひっきりなしにすれ違う。 「だけど、親とか気にしなくていいし、ひとりって気楽じゃん」 「どこが気楽だよ、社会人一年目でまだ貯金もねぇし、実家暮らしのほうがよっぽど気楽だぜ、帰ったら飯用意してあるんだからさ」 「ま、そうだけどさ」     
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