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いつもの上り坂を歩いていると、数名の子供たちが道端で遊んでいる。
―私も同じ様にして遊んでいたわ―
昔を懐かしみながら、響子はふと笑みを漏らした。
響子の家は高台にある一等地だ。
不便この上ないのだが、地価が更に上がり、この近辺は高級住宅街となった。
響子の家族はこの地に昔から住んでいるので、父と母は迷惑この上ないと漏らす。
広大な敷地を持つ響子の家は、固定資産税を支払うことにのみ執念を燃やし、家族全員が必死になり働いているのだ。
普通であれば売ってしまえばそれなりの場所に移り住む事もできるのだろうが、頑として父が首を縦に振らなかった。
そんなことを考える暇があるのなら働け、などといつも響子の兄や姉を叱っている。
響子の家に住む家族は多いので、それなりの収入はある。
勇退した祖父と祖母までもが、父の剣幕を受け流しながらも働きに出ている。
よって、響子の家は火の車というわけではない。
しかし光熱費なども馬鹿にならないので、当然の如く、地球温暖化防止に一役かっている。
響子は家に帰り着き、扉のリモコンをハンドバッグから出そうとしたがすぐに思い直した。
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